HOME >> 債務整理と特定調停
債務整理の方法には特定調停というものがあります。これは原則債権者の住所や営業所などを管轄する簡易裁判所に申し立てを行います。
また債権者が複数の営業所を所有する場合には、本店ではなく債務者が取引をした営業所を管轄する簡易裁判所に申し立てを行います。
そして特定調停で債務整理をする場合、申し立てをした裁判所が債権者と債務者の間に入り弁済計画を作成するため任意整理のように弁護士や司法書士などの専門家に依頼する必要はありません。
更に自己破産や個人再生での債務整理とは違って、法律の知識を全く持たない人であっても比較的簡単に申し立てができるだけでなく費用も割安となっていますので、専門家に依頼する費用を用意出来ない人などにはありがたい制度なのです。
債務整理で特定調停を行う場合、もし特定調停の手続き中に債権者から給与を差し押さえられたりといったことを受けたとしても、特定調停成立が見込まれる場合など決められた一定の要件を満たしていれば強制執行手続きを停止できます。
また裁判所は特定調停の申し立てを受け業者などから取引の経過を取り寄せて、利息制限法と出資法に基づき金利を再計算して借金の額を確定します。すると通常の場合2割〜3割の借金が減る事になります。
これは消費者金融業者との取引期間が長期になればなるほど借金の額が減り、5年以上消費者金融業者と取引があった場合などに借金が全く無くなった。つまり借金が0円になったという事例もあるくらいです。
これらが債務整理に特定調停を選択した場合のメリットになります。ただしここでは過払いが発生していたとしても、回収は出来ませんので別途で不当利得返還請求訴訟を起こさなければなりません。
特定調停での債務整理の基本は話し合いによる合意です。特定調停で債務整理をする場合メリットは先ほどお話しましたが、逆にデメリットもあります。
それは特定調停の基本とされるものが話し合いによる合意のため、必ずしも債権者が債務者の主張に応じてくれるというわけではありません。
それに消費者筋業者が相手の場合、利息制限法の金利の再計算によって減額が決定され、これらが中心となるため例えば消費者金融業者との取引が短期間で1年〜2年程度であれば思ったほど大幅な減額を見込めないとされています。
また融資を受けた相手が銀行などの場合、法定利率内で契約した銀行系ローンなどであれば借金の減額自体が難しくなります。このように特定調停で債務整理をする場合にはこれらのデメリットがあります。
消費者金融業者などからの借金が多い時の債務整理で特定調停を選択した場合、消費者金融業者とどれくらいの期間付き合ってきたかにもよりますが、もしかしたら過払いしているかも知れません。
大抵の消費者金融業者というのは利息を設定する際に出資法を基にしているのですが、それで設定された利息を利息制限法で計算し直した場合借金が減額になります。
しかし消費者金融業者との付き合いが長くなればそれだけ元金が無くなるだけでなく、払いすぎている事もあります。これが過払いと呼ばれるものです。
なのでもし過払いがあった場合、返還してもらうことが可能なのですが特定調停での債務整理では過払い金を回収できませんので、過払い返還請求をする時には別途で不当利得返還請求訴訟の手続きを行うことになります。
債務整理で特定調停を選択するとどれだけの費用がかかるのかについてですが、特定調停そのものは簡易裁判所にて一人で簡単に申し立てることができますし、もちろん専門家に依頼することでも可能です。
そして自分でやる場合に掛る費用は、債権者1社につき500円〜1000円程度と割安で例えば債権者が10社であれば5000円〜10000円で済み、その他に掛る費用といったら切手を買う程度で済みます。
しかしいくら安くてもこれについても各裁判所によって費用は変わってきますので、自分が申し立てを行う各裁判所に確認してください。また弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも可能です。
もし専門家に依頼して債務整理で特定調停を行う場合には、報酬が発生しこの報酬に関しても各事務所によって異なりますので一般的には1社につき2万円〜3万円とされていますが、報酬も含めて費用がいくら掛るのかと支払方法を確認しましょう。
債務整理を特定調停で行う場合、必要な書類一式は申し立てを行う簡易裁判所に行けば窓口で入手することができます。
またこの他に自分で用意する必要書類などは戸籍謄本、住民票、給与所得者の人は給与明細書や源泉徴収票、年金などの公的援助を受けている人はその証明書が一般的に必要とされます。
しかしこれらの必要書類とされるもの以外であっても各裁判所によって必要に応じて他の書類も用意しなければならない場合もありますので、自分が申し立てをする裁判所で必要書類などについて細かく確認しておきましょう。
また申立書に添付しなければならない必要書類も各裁判所によって申立書の内容や申立人の状況などで異なります。そのため債務整理を特定調停で行う場合に必要になる書類は申し立てをする裁判所や専門家などで確認しておきましょう。
債務整理を特定調停で行う時の一連の流れとしては、まず所轄の簡易裁判所に申し立てを行う事から始まります。すると業者に通知がいくことで取り立てもされなくなります。
そして調停委員を交えての業者との協議が行われますが、この時調停委員は弁護士または有識者の中から選任されます。
しかし業者が協議に出席しなかった場合も多いようですが、このような時には業者に電話をするなどして調停委員と話し合うことになりますが、2回程度の出席が一般的に必要とされています。
それらが終わり業者との和解が成立すると裁判所では調停調書を作成し、その後は調停書に従って返済していく事になるのです。これらが債務整理を特定調停で行った場合の流れとなります。
債務整理の方法として特定調停について書かれた書籍などを目にすることもあるのですが、確かにこれであれば費用も安く手続きも比較的簡単に行えることからどんな場合であっても債務整理可能であると勘違いしがちですが注意点もあります。
例えば借金の総額が高額で取引期間が短い場合は利息を引き直しても効果的はありませんので一般的に個人再生を選択する事になります。それに現在の可処分所得やこれから先変動する恐れのある収入を考慮すると自己破産が妥当な場合もあります。
しかし特定調停による債務整理を行った場合、調停が成立した後に破綻すれば自己破産などの手続きができるのですが、その後の債務整理に不都合が生じる場合もあるのです。
何故なら調停調書は判決と同等の効力を持っているため調停調書に基づいて支払えれば問題無いのですが、もし滞ってしまえば強制執行されることもあるので注意しなければなりません。また合意不成立の場合は断念せざるを得ないのです。